ケルテス&ベルリン・フィルによるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫を聴いて
ケルテス&ベルリン・フィルによるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫(1962年 ザルツブルク音楽祭ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
バルトークと同郷のハンガリー生まれであるケルテスですが、オケコンのセッション録音を残していません。そういう意味では、とても貴重な記録だと言いたい。
さて、ここでの演奏についてですが、あまり尖っておらずに、円満なオケコンになっていると言えましょう。ケルテスは、溌剌としていて、しなやかな音楽づくりを示し、かつ、アグレッシブな演奏を旨とする指揮者だというイメージが強いだけに、ちょっと意外であります。
そのような中でも、第4楽章から最終楽章にかけては、箇所によっては前のめりな姿勢を示すこともある。
とは言いましても、やはり、基本的にはまろやかで芳醇な味わいのなるオケコンになっていると言えましょう。血湧き肉躍るような民族性を前面に出すようなこともなく、純音楽的な端正な纏め上げ方をしている。余裕のある音楽づくりである、とも言えそう。その分だけ、コクの深さが感じられもする。
そのような演奏を具現化するに当たって、ベルリン・フィルの高い機能性は、とても有効に働いているように思えます。技巧面においても、音響の面においても、余裕を持って音楽が掻き鳴らされているのであります。
ユニークな魅力を湛えた演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。