オーマンディ&フィラデルフィア管によるシベリウスの≪四つの伝説曲≫を聴いて

オーマンディ&フィラデルフィア管によるシベリウスの≪四つの伝説曲≫op.22(1978年録音)を聴いてみました。
四つの伝説曲とは下記の4曲。この曲集は、≪レミンカイネン組曲≫とも呼ばれています。
「レミンカイネンと鳥の乙女たち」
「トゥオネラの白鳥」
「トゥオネラのレミンカイネン」
「レミンカイネンの帰郷」

この曲集は、神話・古詩・英雄伝説などを収録したフィンランドの国民的叙事詩である「カレワラ」に出てくる4人の傑出した英雄の1人であるレミンカイネンにスポットを当てて作られた作品。ちなみに、レミンカイネンは「ドン・ファン型の好男子であり、血気盛んな騎士」だそうです。
(「カレワラ」を読んだことがないため、このCDに添えられている解説書を抜粋しながら記述しています。)
有名な≪トゥオネラの白鳥≫は、この曲集の第2曲目ということになります。

シベリウスの演奏に定評のあるオーマンディ。その演奏ぶりには作曲家自身も太鼓判を押したほど。
この≪四つの伝説曲≫も、作品のツボをしっかりと押さえたものになっていて、隙がない。迷いが微塵も感じられずに、朗々とかつ流麗に音楽は奏でられてゆく。更に言えば、とても煌びやかで艶やかな演奏となっている。それはもう艶美と言いたくなるほどで、惚れ惚れとしてきます。そのうえで、まろやかで、かつ、暖かみを帯びた音楽が鳴り響いている。例えば「トゥオネラの白鳥」でも、あまり寒々とした空気が漂うようなことはない。

土俗性のようなものは、ここには無いと言えましょう。有るのは、艶美にして、均斉の取れた純美な音楽。それはまさに、インターナショナルな味わいを持ったものとなっている。
シベリウス自身は、このような形での曲の再現を望んでいたのだ(それは、一つの形として、ということなのでしょうが)というのも、興味深いことでありますよね。