バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによるマーラーの≪復活≫の再録音盤(DG 1987年録音)を聴いて

バーンスタインがDGに制作したマーラーの交響曲全集から、ニューヨーク・フィルとの≪復活≫の再録音盤(1987年録音)を聴いてみました。独唱陣は、ソプラノはヘンドリックス、メゾ・ソプラノはルートヴィッヒ。

この演奏、個人的には、バーンスタインの特徴が余すところなく出ている演奏の一つだと思っています。
情念の塊のような演奏であります。
濃密で、粘着質で、おどろおどろしい。狂おしいまでに情熱的。そして、生命力に溢れていて、鮮烈。昂揚感も、頗る高い。
音楽は、至る所でデフォルメされています。しかしながら、それが、独りよがりな表現になっているとは言いたくない。そう、作品から乖離するようなことの決してない表現が、ここでは為されていると思えて仕方がないのであります。そこが、まさに驚愕的。
マーラーへの尊敬と愛情と、心からの共感に満ち溢れた演奏が繰り広げられている。

レコード芸術誌の1999年4月号でのリーダーズチョイスでは、≪復活≫が採り上げられ、そのとき私は、この演奏をマイベストとしました。
あれから四半世紀が過ぎましたが、今でも≪復活≫のマイベスト盤は、これであります。そして、25年前にこの演奏に感じていたことは、今でも変わりがありません。
なんとも凄絶な、ここでの≪復活≫。
これはもう、破格の魅力を宿している演奏であります。