ズヴェーデン&オランダ放送フィルによるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫を聴いて

ズヴェーデン&オランダ放送フィルによるストラヴィンスキーの≪ペトルーシュカ≫(2008年録音)を聴いてみました。1911年版による演奏。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

明晰な演奏が繰り広げられています。
運動神経の良い演奏だとも言えそう。贅肉を削ぎ落とした演奏ぶりで、敏捷性が高い。軽やかにして、精妙。実に端正な演奏となっています。そして、響きが澄み切っている。
そのような演奏スタイルが、この曲には誠に相応しいと言いたい。音楽が全くダブついておらず、キリッと引き締まっている。粒立ちが誠に鮮やか。そして、輪郭線がクッキリとしてもいる。そのために、音楽全体から爽快な風が吹いてくるかのよう。
4管編成の1911年版を採用して、このような演奏を実現していることに、驚きを覚えます。
総じて、見通しが良くて、スッキリと纏められているストラヴィンスキー演奏だと言えましょう。音楽全体が整然としていますが、力感の不足は全く感じられないため、スッキリしていることに対する不満を抱くことはない。むしろ、ピュアな美しさを湛えていることに、ただただ聴き惚れるばかり。
そのうえで、表情が生き生きとしている。伸びやかで、息遣いが自然、かつ豊かでもある。そんなこんなによって、実に鮮やかな演奏となっている。

ズヴェーデンの手腕の確かさと音楽センスが光っている、見事な、そして、頗る素敵な演奏であります。