ターリッヒ&チェコ・フィルによるドヴォルザークの交響曲第6番を聴いて
ターリッヒ&チェコ・フィルによるドヴォルザークの交響曲第6番(1937年録音)を聴いてみました。
生命力に溢れている、逞しい演奏が展開されています。何と言いましょうか、野太さのようなものが感じられる。
そのうえで、素朴であり、親しみやすさのようなものも滲み出ています。なるほど、鄙びた雰囲気が漂っているとも言えそう。とりわけ、第1楽章では長閑な趣きが深い。
そして、全編を通じて、息遣いが誠に自然。とは言いましても、決して野暮ったい訳ではない。安穏とした音楽が鳴り響いている訳でもない。芯がシッカリとしていて、強靭で、輝かしい音楽が奏で上げられているのであります。それらは、ターリッヒが抱いているドヴォルザークへの敬愛の情や、その作品への共感の深さといったようなものが、滲み出ている結果なのでありましょう。
しかも、この演奏からは作為と言ったものが一切感じられない。なんの誇張もない音楽が鳴り響いているとも言いたい。それはまさに、率直にして、のびやかな音楽だと言えましょう。そのうえで、音楽が生き生きと飛び跳ねているようでもある。そんなこんなだと言いながら、冒頭に戻ることになるのですが、生命力に溢れていて、逞しさに満ちた演奏となっている。
とても立派であり、かつ、チャーミングでもある演奏。ドヴォルザークの交響曲といえば、第7番以降の3曲に人気が集中しがちだと言えましょうが、第6番の魅力をタップリと味わうことのできる演奏となってもいる。
いやはや、なんとも素敵な1枚であります。
なお、1937年の録音ということで、音質は貧しい。特に、音の伸びやかさに乏しい、といった印象を受けます。
それでいて、これだけ生命力の逞しさや輝かしさが伝わってきて、かつ、チャーミングな雰囲気が漂ってくるということは、驚くべきことだと言えましょう。