バルビローリ&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第4番を聴いて

バルビローリ&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第4番(1967年録音)を聴いてみました。

滋味に溢れている演奏であります。そう、まろやかさや、コクの深さのようなものが感じられる演奏となっている。全編を通じて、情趣深さや、慈しみや、といったようなものが感じられもする。
それでいて、「渋い」という言葉では片づけられないような熱気が含まれてもいる。私は、バルビローリは元来が「情熱家」であったと見なしているのですが、ここでの演奏から感じ取ることのできる熱気は、そんなバルビローリの体質が滲み出ているものだと言えましょう。
そんなこんなを含めて、この演奏が示してくれている音楽世界は、ブラームスの4番にとって誠に似つかわしいと思われます。成熟度の高い演奏であるとも言えそう。

なるほど、ただ単に感情を煽るような音楽になっている訳ではないのですが、充分に情熱的な演奏が繰り広げられています。そして、音楽は、存分にうねりながら進んでゆくのです。
例えば、第1楽章の後半部分ではシッカリとした昂揚感が築かれていて、ヴィヴィッドな音楽が鳴り響いている。第3楽章では、重心を低く採りながら、じっくりと腰を落ち着かせた演奏ぶりを示されていつつ、音楽は逞しい推進力を持って突き進んでゆく。そして、最終楽章では、気宇の大きな音楽世界が広がっている。
しかも、全編を通じて、息遣いがとても自然。これ見よがしな表現は、皆無だと言えましょう。逞しさを、優しさや慈愛で包み込んでいるような演奏、とも言えそう。
そこに加わるウィーン・フィルのふくよかで柔らかな美音が、この演奏をより一層魅力的なものにしてくれている。

なんとも味わいの深い、素敵な演奏であります。