ジュリーニ&ウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第7番を聴いて
ジュリーニ&ウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第7番(1986年録音)を聴いてみました。
なんとも美しい演奏であります。とても流麗で、美麗なブルックナー演奏となっている。
やや遅めのテンポが採られていて、音楽をジックリと響かせている。そのようなこともあって、気宇の大きさや、壮麗さが充分に感じられる演奏が繰り広げられています。頗る端正でもある。そのうえで、実に滑らか。過度に華美にならない範囲で、艶やかな音楽が奏で上げられている。
遅めのテンポでありつつも、音楽が停滞するようなことは微塵もありません。むしろ、歌心に満ちてもいる。全般的に、とても明朗なブルックナー演奏になっているとも言えましょう。
しかも、第2楽章では、誠に敬虔な音楽が奏で上げられていて、胸に深く染み込んでくる。
一言で言い表すならは、「バランス感覚に優れた演奏」ということになりますでしょうか。難しいことをあまり考えずに、すんなりと耳に入ってくる演奏となっている。どこにも誇張はなく、ただただ、充実感いっぱいな音楽が鳴り響いている。重すぎるようなことはないものの、聴き応え十分でもある。そして、造形は実に美しい。
そこに加えて、ここでのウィーン・フィルの響きがまた、まろやかで、柔らかくて、艶やか。それはまさに、「天国的に美しい」と言いたくなるほどであり、この演奏をより一層魅力的なものにしてくれています。
魅惑的なブルックナー演奏。そして、「素晴らしい音楽を聴いた」という感慨に浸ることのできる演奏。
折に触れて聴きたくなる、お気に入りの1枚であります。