ライナー&シカゴ響によるレスピーギの≪ローマの噴水≫と≪ローマの松≫を聴いて

ライナー&シカゴ響によるレスピーギの≪ローマの噴水≫と≪ローマの松≫(1959年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

なんとも剛毅な演奏であります。曖昧さが無く、明晰でもある。それはまさに、ライナー&シカゴ響というコンビの美質が遺憾なく発揮された結果であると言えましょう。
脇目を振らずに、一直線に進んでゆくような演奏ぶり。それはもう、痛快な演奏として仕上がっている。毅然としてもいる。鳴り響いている音楽が、強靭を極めている。更に言えば、音楽全体が克明な姿をしながら、キリっと屹立している、といった感を強く受ける。
しかも、アンサンブルは精緻を極めている。音の粒がクッキリとしている。
そのうえで、充分に華麗で色彩的であります。その点については特に、≪ローマの松≫の冒頭の「ボルゲーゼ荘の松」において顕著。しかもそれは、外面を狙った華麗さではなく、丹念に磨き上げた結果として自然と獲得できた華麗さ、といった感じ。
更には、ドラマティックにしてエネルギッシュな演奏となっている。とりわけ、「真昼のトレヴィの泉」や「アッピア街道の松」などでは、壮大なスケールを感じさせてくれる音楽が展開されている。また、「カタコンベ付近の松」のクライマックス部分では、途轍もなく壮麗な音楽が鳴り響いている。
その一方で、≪ローマの噴水≫での多くの箇所や、「ジャニコロの松」などでは、清浄にして、抒情性の豊かな音楽が奏で上げられている。

明快であり、かつ、奥深さのようなものが感じられる演奏。
これはもう、ライナー&シカゴ響の妙技を堪能することのできる、唖然とするほどに見事な演奏であります。