ブーレーズ&ウィーン・フィルによるベルクの≪ルル組曲≫を聴いて

ブーレーズ&ウィーン・フィルによるベルクの≪ルル組曲≫(2011年 ザルツブルク音楽祭ライヴ)を聴いてみました。ソプラノ独唱はプロハスカ。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

ブーレーズらしく、明晰かつスッキリと纏め上げられてゆく演奏となっています。輪郭線がクッキリしていて、クリアな演奏ぶりが示されている。響きが引き締まっていて、整然としてもいる。そして、透き通るように美しくもある。
とは言いながらも、決して冷徹な音楽が奏で上げられている訳ではありません。ウィーン・フィルの響きも相まって、暖色系のベルクが鳴り響いていると言えそう。演奏全体から、ぬくもりが感じられる。艶やかであり、充分に色彩的でもある。
そのうえで、この作品ならではの、「めくるめく官能」といったものにも過不足はありません。第2曲目などを筆頭に、音楽が随所でうねっている。そして、全体を通じて、巧まざるロマンティシズムが醸し出されている。
プロハスカによる独唱もまた、結晶度が高くて、かつ、凛としたものとなっていて、ここでのブーレーズの音楽づくりに相応しいと言えましょう。

ブーレーズならではの精緻な音楽づくりを土台としながら、暖かみやロマンティックな雰囲気も充分な演奏。
さすがと言いたくなる、素敵な≪ルル組曲≫であります。