バーンスタイン&ウィーン・フィルによるシューマンの交響曲第2番を聴いて
バーンスタイン&ウィーン・フィルによるシューマンの交響曲全集から第2番(1985年録音)を聴いてみました。
バーンスタインはシューマンの交響曲に強い愛着を持っていましたが、その中でも特に、第2番を熱愛していたようです。例えば、バーンスタインが創設した国際教育音楽祭であるPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティヴァル)を1990年に初めて開催した際に採り上げた作品も、この曲でありました。バーンスタインはその数か月後に急逝したため、彼自身のPMFへの参加は、この時が最初で最後となったのでありました。
さて、このウィーン・フィルとの演奏も、バーンスタインのこの曲への愛情が強く反映されたものだと言えましょう。熱気に溢れていて、かつ、情念の塊のようなものが感じられる。それはもう、誠に思い入れタップリな演奏ぶりが示されています。更に言えば、濃厚な演奏となっている。大きな起伏が採られていて、劇的でもある。
シューマンの4つの交響曲の中では、最も暗鬱な表情を湛えている作品だと言えましょうが、そのような性格は、この演奏では薄い。音楽が存分にうねっています。時に激しく、時に熱く、時に感傷的な、時に思索的な音楽が鳴り響いている。その先には、シューマンらしい熱狂や、ロマンティシズムが、色濃く描き出されることとなっている。
そういった演奏ぶりは、バーンスタインの、この作品への共振の強さがストレートに刻まれている結果だと言えるのではないでしょうか。
そのようなバーンスタインの音楽づくりに対して、ウィーン・フィルは、ここでもしなやかな反応を見せてくれています。そして、その響きは誠に艶やかで柔らかくて、ふくよかで美しい。
なんとも見事な、そして、魅惑的な演奏であります。