ルノー・カピュソン&ネゼ=セガン&ロッテルダム・フィルによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聴いて

ルノー・カピュソン&ネゼ=セガン&ロッテルダム・フィルによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(2009年録音)を聴いてみました。
NML
(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

まずもって、カピュソンの音の、なんと美しいこと。
不純物が一切含まれていないピュアな音。そんなふうに言えるのではないでしょうか。そのうえで、楚々としていながら、艶やかでもある。繊細でいて、細身な音楽にはならずに、ふくよかで、かつ、歌い口も含めて伸びやかでしなやかでもある。
しかも、佇まいがまた、とても美しい。甘美でいながら、情に流されるようなことはなく、音楽のフォルムが崩れることも全く無い。全編を通じて、端正な音楽が鳴り響いています。明朗な演奏ぶりであり、開放感が感じられつつも、必要十分にピンと張りつめた緊張感が備わってもいる。
外面も内面も、聴いていてウットリとするほどの美しさを湛えているヴァイオリン演奏であります。
ネゼ=セガンの指揮も、ふくよかでいて逞しい。生命力にも溢れていて、充実した音楽を鳴り響かせてくれています。

録音当時、カピュソンは33歳、ネゼ=セガンは34歳。
俊英2人による、瑞々しい魅力に包まれた素敵な演奏。そんなふうに言えましょう。

なお、併録されているコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は、更に妖艶で、甘美な演奏になっています。
こちらも聴きものであります。