ルービンシュタイン&ライナー&シカゴ響によるラフマニノフの≪パガニーニの主題による狂詩曲≫を聴いて

ルービンシュタイン&ライナー&シカゴ響によるラフマニノフの≪パガニーニの主題による狂詩曲≫(1956年録音)を聴いてみました。
NML
(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

鮮烈な演奏が繰り広げられています。なんとも剛毅であり、豪放な演奏。そして、華麗でもある。
切れ味があって、目鼻立ちのクッキリとした演奏となっています。概して、小気味良い演奏が繰り広げられている。そのうえで、音楽の起伏の幅が頗る大きい。颯爽と駆け抜けてゆくかと思えば、ジックリと歌わせながら抒情性に溢れた音楽を奏で上げても行く。有名な第18変奏では、号泣しているかのように感興豊かに歌い上げている。
これらについては、ピアノについても、指揮についても、ともに当てはまる。
そのような演奏ぶりが、小手先の勝負となっておらずに、実に堂々と展開されているのが、なんとも素晴らしいところ。風格豊かであります。全体を通じて、少しも大袈裟な音楽とはなっていない。そう、ごく自然な息遣いの中から気宇の大きな音楽が紡ぎ上げられてゆくのであります。頗る伸びやかでもある。その結果として、ダイナミックで、かつ、感興豊かでありつつも、純真にして高潔な音楽が奏で上げられていると言いたい。

ルービンシュタインとライナーの両名の至芸に酔いしれることのできる演奏。
なんとも見事な、そして、聴く者を惹きつける力の強大な、素晴らしい演奏であります。

※添付のジャケット写真は、NMLに掲載のジャケットとは別のものを採用しています。