リリー・クラウス&モントゥー&ボストン響によるモーツァルトのピアノ協奏曲第18番を聴いて

リリー・クラウス&モントゥー&ボストン響によるモーツァルトのピアノ協奏曲第18番(1953年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

この演奏をリードしているのは、モントゥーだと言えそう。実に若々しくて溌剌とした音楽づくりが為されています。万年青年と呼びたくなるモントゥーらしく、「元気ハツラツ」な演奏が繰り広げられている。それ故に、虚飾を排した、明朗でカラッと晴れ渡っている、ストレートな音楽が鳴り響いている。音楽が、嬉々として飛び跳ねてもいる。
そのようなモントゥーの勢いに押されるかのようにして、L・クラウスもまた、明快な演奏を繰り広げています。変な飾り立ては一切行わず、伸びやかで晴れやかで、率直な演奏ぶりが示されているとも言えそう。そのうえで、ポキポキと軽快に音楽は進められてゆく。それは、少々素っ気なく感じられるほどに。とは言え、そこから彼女ならではの「気品」が漂ってくる。決して華美なものとなっている訳ではないのですが、凛とした華やかさが備わってもいる。
そのような演奏ぶりでありながら、第2楽章では峻厳な音楽が奏で上げられているのが、なんとも印象的。そこには、深淵な音楽世界が広がることとなっている。カラッとした音楽というよりも、情緒連綿たる濃厚な音楽となってもいる。しかも、耽溺的にならずに、毅然としている。そんなこんなが、この演奏に大いなるアクセントを与えてくれていると言えましょう。

それにしましても、なんと素敵な演奏なのでありましょう。愉悦感に満ちていて、かつ、凛々しくて、奥深い音楽が鳴り響いている。
独特な魅力を持った、素晴らしい演奏であります。