ガーディナー&北ドイツ放送響によるラフマニノフの≪交響的舞曲≫を聴いて

ガーディナー&北ドイツ放送響によるラフマニノフの≪交響的舞曲≫(1993年録音)を聴いてみました。

NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

ガーディナーによる珍しいラフマニノフの録音。正規録音では、これが唯一なのではないでしょうか。ガーディナーが北ドイツ放送響のシェフを務めていた時期(1991-94)の記録になります

その演奏内容はと言いますと、目鼻立ちのクッキリとした克明なものとなっています。スッキリとしていて、かつ、明瞭な音楽づくりが為されている。そのうえで、躍動感に満ちている。
決して下品な演奏ぶりとなっている訳ではないのですが、苛烈な演奏が繰り広げられています。屈強な演奏だとも言えそう。その様が、この作品にはうってつけ。聴いていて心が浮き立ってくる。
しかも、猥雑な音楽になっていたり、野蛮な音楽となっていたり、といったことが感じられないところが、ガーディナーならではだと言えましょう。パワフルな演奏ぶりの中にも、折り目正しさが感じられる。

ガーディナーの多面的な才能を垣間見ることができ、かつ、作品の魅力を堪能することのできる、素晴らしい演奏。
当盤、あまり話題になることはないように思えますが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたいものであります。