ドゥネーヴ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管によるルーセルの≪蜘蛛の饗宴≫を聴いて
ドゥネーヴ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管によるルーセルのバレエ音楽≪蜘蛛の饗宴≫(2010年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
ルーセルの音楽の特徴と言える、力感溢れる逞しさと、洗練味とを併せ持っている音楽が紡ぎ上げられています。
ドゥネーヴによる音楽づくりは、目鼻立ちがクッキリとしていて、かつ、ダイナミック。適度にエッジが立っている。敏捷性にも不足はなく、キビキビと音楽が進められてゆく。そのため、胸のすくような演奏になっています。そして、バレエ音楽ならではの音楽世界が広がってゆくこととなっている。そう、快活にして劇的な音楽が響き渡っている。
それでいて、過度に獰猛な音楽となってはいません。しなやかな演奏ぶりであり、柔らかみを帯びており、ふくよかさや滑らかさや艶やかさが感じられもする。刺激的でありつつも、決して攻撃的な音楽となっておらず、エレガントな雰囲気を湛えている。この辺りは、ドゥネーヴの音楽性の豊かさの表れだと言えましょう。
溌溂としていて、熱狂的で、スリリングでいて、典雅な雰囲気も備えている演奏。
ルーセルの音楽世界と、このバレエ音楽に秘められた魅力とを存分に味わうことのできる、なんとも素敵な演奏であります。