ブーレーズ&シカゴ響によるバルトークの≪弦楽のためのディヴェルティメント≫を聴いて

ブーレーズ&シカゴ響によるバルトークの≪弦楽のためのディヴェルティメント≫(1993年録音)を聴いてみました。

精緻な、そして、整然とした演奏となっています。それはもう、頗る折り目が正しくて、端正な音楽が奏で上げられている。
バルトーク特有のバーバリズムに溢れた性格は、あまり感じられません。むしろ、洗練味を帯びた音楽になっていると言いたい。躍動感もあまり感じられません。むしろ、静的な演奏ぶりだと言いたい。
もっと言えば、内省的な演奏だとすることができるように思えます。しかも、冷徹な眼で作品を透かしていっているような、そのような気配すら感じられる。更には、純度の高い音楽を奏で上げていこうという強い信念が感じられもする。
なるほど、最終楽章ではかなり「動き」を持った音楽が展開されています。しかしながら、ここに感じられるのは、民族色豊かな音楽というよりも、もっと客観的かつインターナショナルな視点で捉えた音楽であるように思える。荒々しくてワイルドだというよりも、均整が取れていて、調和の図られている音楽となっているように思える。
そのうえで、輪郭がクッキリとしていて、克明な演奏が貫かれている。であるからこそ、純度の高さが一層際立ってくる。

なんとも見事な、そして、ユニークな魅力を湛えている、素晴らしい演奏であります。