パレー&デトロイト響によるドヴォルザークの≪新世界より≫を聴いて

パレー&デトロイト響によるドヴォルザークの≪新世界より≫(1960年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

演奏時間は約35分間。快速にグイグイと押してゆく。その演奏ぶりは、爽快を極めています。全編にわたって、覇気が漲っていて、誠に逞しい音楽が鳴り響いている。
それでいて、弾き飛ばす、といった風情は皆無。あっけらかんとしている訳でもない。音楽をシッカリと弾き込んでいて、詩情の豊かさが備わっている。
明瞭な輪郭線によって描き上げられていて、曖昧なところは一切ない。そのうえで、曲想に合わせながら、音楽は自在に伸縮してゆき、そこに余情が籠められてゆく。それ故に、息遣いの自然な音楽となっているのであります。そのような特徴は、第2楽章において殊更に顕著であり、パレーによる「魔法」の種明かしを見る思いを強くする。
かてて加えて、キビキビとした運動性を前面に押し出しながら、しなやかで弾力性に満ちた音楽を奏で上げてゆくパレー。

神業を見せつけられている、と言いたくなってしまう演奏。
他の演奏者からは得難い魅力を備えている、素晴らしい演奏であります。