カーゾン&クナッパーツブッシュ&ウィーン・フィルによるブラームスのピアノ協奏曲第2番を聴いて
カーゾン&クナッパーツブッシュ&ウィーン・フィルによるブラームスのピアノ協奏曲第2番(1957年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
カーゾンは、慎ましやかなピアニストだとの印象が強いように思えます。一方のクナッパーツブッシュは、巨人的な演奏をする指揮者だというイメージ。何となく水と油とも言えそうなコンビのように思えますが、これが、とても相性が良いのです。
この演奏から聞こえてくるもの、それは「真摯」で「誠実さ」に溢れている音楽であります。ひたむきで、かつ、ピュアな演奏となっている。
クナッパーツブッシュが描き出す、虚飾の無い、スケールの大きな音楽に抱かれながら、清潔感の漂う独奏を展開してゆくカーゾン。そのピアノの純度は、極めて高い。純真無垢でもあります。そのうえで、クナッパーツブッシュに触発されたのでありましょう、壮麗であり、逞しくて強靭であり、激情的であり、うねりも充分な、カーゾンによるピアノ。しかも、緩徐楽章である第3楽章では、幽玄の世界に遊ぶような音楽を奏で上げてくれているところは、いかにもカーゾンらしい。
そのような2人の演奏ぶりに添えられている、ウィーン・フィルならではの艶やかな美音がまた、なんとも素敵であります。クナッパーツブッシュによるちょっと武骨な音楽づくりを、優美な色に染め変えてくれているとも言えそう。
聴き応え十分で、味わい深さを持っている、素晴らしい演奏であります。