小澤さん&ボストン響によるレスピーギの≪リュートのための古風な舞曲とアリア≫全曲を聴いて

小澤さん&ボストン響によるレスピーギの≪リュートのための古風な舞曲とアリア≫全曲(1975,78年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

いかにも小澤さんらしい、折り目正しくて誠実な演奏であります。
全編を通じて、端正で、爽快感の漂う演奏が展開されている。スッキリとした佇まいが、誠に美しくもある。更に言えば、洗練味も感じられる。舞曲として弾けるべきところでは、過不足のない躍動感が示されている。そして、全体的に生き生きとした表情に満ちている。
これらのアプローチが、この可憐で、瀟洒な雰囲気の漂う優美な作品に、よくマッチしているように思えます。
そのような中にも、ピンと張りつめた緊張感が伝わってくる。そして、謹厳さのようなものが備わってもいる。それでいて、堅苦し過ぎたり冷厳になったりするようなことはなく、温もりを湛えた音楽が鳴り響いている。身のこなしがしなやかでもある。そのうえで、そのような先から、凛とした優美さが感じられる。こういった風情は、原曲となっている16,17世紀の音楽世界に、誠に相応しいと言えましょう。

小澤さんの音楽センスや、音楽への誠実さが光る、素敵な素敵な演奏だと思います。