葵祭観覧と、クリップス&ロンドン響によるモーツァルトの交響曲第39番を聴いて

本日は、葵祭の路頭の儀(ろとうのぎ)を観てきました。本来であれば昨日の5/15に開催されるのですが、昨日は雨天だったため、今日に順延されての実施。
平安装束を身に纏った、貴族や神官や武士や女官や童子などなど総勢500名以上が、雅な雰囲気の元に行進してゆく。中には、牛車が出てきたり、花笠が出てきたりと、とても華やか。
五穀豊穣の願いを掛けて、神様に喜んでもらうために、躍動感に溢れる流鏑馬や競馬(くらべうま)が行われたり、華やかな路頭の儀とともに神様へ供物を捧げたりするという葵祭。4年ぶりに催行された葵祭に、神様もさぞかしお喜びになられたことでしょう。

さて、本日紹介いたします音楽は、クリップス&ロンドン響によるモーツァルトの交響曲第39番(1951年録音)。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

クリップスによるモーツァルトの交響曲と言えば、1970年代の前半にコンセルトヘボウ管と録音した第21番以降の作品を纏めた音盤が広く親しまれているのではないでしょうか。そこに収められている演奏は、ちょっとおっとしりとした感じがあるものの、誠実にして凛とした演奏ぶりで、芳しい美しさを湛えた、素敵な演奏となっています。こちらは、それより前のモノラル期に、ロンドン響と録音した第31,39,40番からのものとなります。
ここでの演奏は、コンセルトヘボウ管とのもの以上に、私を魅了してくれます。
それはもう、馥郁とした薫りが立ち込めるが如き演奏となっている。ここで聴くことのできる音楽、それはまさに、ウィーンを中心に活動していた指揮者ならではのものだと言えましょう。情緒連綿たる音楽が響き渡っています。柔らかいながらもキリっとしていて、そのうえで、艶やかで、典雅でもある。
しかも、溌溂とした運動性や、快活さに不足はない。音楽が必要十分に弾んでもいる。

葵祭からの連想で、この音盤に手を伸ばしたのですが、実に麗しくて、魅力的なモーツァルト演奏。
多くの音楽愛好家にも聴いてもらいたい佳演であります。