ドゥネーヴ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管によるドビュッシーの≪映像≫を聴いて

ドゥネーヴ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管によるドビュッシーの≪映像≫(2011,12年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

明快で克明な演奏でありつつ、詩情性の豊かさを湛えてもいる。その辺りのバランスが絶妙であります。そのうえで、色彩鮮やかで、活き活きとした躍動感があって、鮮烈でもある。後半に述べた特色については、「イベリア」において殊更に顕著でありますが、「ジーグ」と「春のロンド」においても少なからず感じられます。
全編を通じて、基本的には今風のエッジの効いた演奏ぶりだと言えましょう。音楽の輪郭がくっきりとしていて、逞しい運動性が備わっている。それでいて、決してエキセントリックな演奏とはなっていません。必要十分なふくよかさを持っている。情感が濃やかで、情趣の豊かさが感じられもする。
そう、クリアでカラフルでエネルギッシュな音楽づくりが為されていつつも、音の浮遊感や、音の周りに付着している空気感が窺えて、芳しい雰囲気が醸し出されている。そのような雰囲気はまさに、ドビュッシーの作品にぴったり。
そんなこんなはすなわち、ドゥネーヴの音楽性の豊かさの現れなのでもありましょう。

作品の魅力を堪能でき、かつ、ドゥネーヴの手腕の確かさを痛感することのできる、魅力溢れる演奏であります。