ヴァント&北ドイツ放送響によるブルックナー交響曲第7番(RCA盤・1992年ライヴ)を聴いて

ヴァント&北ドイツ放送響によるブルックナー交響曲第7番(1992年ライヴ)を聴いてみました。

ヴァントによる同曲の音盤は、当盤以前では1980年にケルン放送響とセッション録音したものがあり、当盤以降では、1999年のベルリン・フィルとのライヴ盤が、更には、北ドイツ放送響とのものとしては1999年のライヴ盤(プロフィール・レーベル)も世に出されています。
それらの中では、ベルリン・フィルとのライヴ盤が、我が国では最も広く聴かれているのではないでしょうか。

さて、ここでの演奏はと言いますと、やや速めのテンポを基調としながらの、端正な音楽が奏で上げられています。澄明な音楽が鳴り響いている。とても実直な演奏となってもいる。
大仰に構えるような素振りは皆無。なんともケレン味のない演奏であります。屈託のない演奏ぶりだとも言えそう。更に言えば、純真無垢であり、晴朗な音楽が奏で上げられている。そのような音楽づくりが、ブルックナーには、とりわけ、交響曲第7番には、誠に相応しい。
しかも、過不足のない力感が籠められている。そのために、誇張のない形で、壮麗な音楽が鳴り響くこととなっています。そして、滋味が溢れていると共に、決然としていて、かつ、凛とした音楽が鳴り響くこととなってもいる。

安心して作品に身を浸すことのできる演奏。なおかつ、美しい佇まいを湛えている演奏。
こういったことは、ヴァントによる多くの演奏に共通したことだと言えましょうが、ここでのブルックナーの7番も例外ではありません。しかも、1982-90年の間シェフを務めた北ドイツ放送響を指揮しているという、気心の知れた手兵との演奏だということが、こういった傾向を一層強くしてくれているように思われる。
聴き応え十分な、そして、なんとも素敵な演奏であります。

なお、ここではハース版が採用されています。ヴァントは、この曲でシンバルが打ち鳴らされることに、強い反感を抱いていたようです。