ミトロプーロス&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第2番を聴いて

ミトロプーロス&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第2番(1958年8月21日 ザルツブルク音楽祭でのライヴ録音)を聴いてみました。この日から3日後に演奏されたものも、オルフェオ・レーベルから出されています。
なお、本盤は、NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞となります。

ミトロプーロスらしい、強靭で逞しい演奏であります。と言いつつも、普段のミトロプーロスに比べると、切れ味の鋭さはさほど感じられない。ストイックさも、殆ど感じられない。それよりももっと、円満で、まろやかな演奏となっている。
それは、ウィーン・フィルを相手にしているからでしょうか。その可能性は、大きいように思えます(と言いつつ、ウィーン・フィルとのシェーンベルクの≪浄夜≫などでは、鋭利な演奏になっているのですが)。はたまた、ザルツブルク音楽祭という環境が、このようなアプローチを採らせたのでしょうか。
とは言いましても、やはり、鋭敏な演奏ぶりとなっています。それは、決して露骨な形で表されている訳ではないのですが。更に言えば、克明で明快でもある。そう、硬軟をとり混ぜたような演奏が繰り広げられているのであります。そのうえで、コクの深さが感じられる。気宇が大きく、情熱的でもある。そして、冒頭に書きましたように、必要十分に強靭で逞しくある。その辺りのバランスが絶妙だと言えましょう。

力強くも、まろやかで、大人な魅力を持った、奥行き感のある演奏。
ミトロプーロス&ウィーン・フィルというコンビならではの、聴き応え十分な、素敵な演奏であります。