バーンスタイン&シカゴ響によるショスタコーヴィチの交響曲第1番を聴いて

バーンスタイン&シカゴ響によるショスタコーヴィチの交響曲第1番(1988年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。

ショスタコーヴィチの作品は風刺が効いていると言いますか、ニヒルでシニカルな性格を持っていると思います。この作品なども、そのような側面が強いと言えるでしょう。ただ、ここでのバーンスタインによる演奏は、かなりシリアスなものになっているように思えます。そのうえで、ショスタコーヴィチの音楽の特徴の一つでもある、切迫感や悲壮感が強く感じられる。最後の部分などは、誠に壮絶でもある。
諧謔的な雰囲気は殆ど感じられず、雄大な叙事詩に接しているかのよう。そして、まだ10代だったショスタコーヴィチが、レニングラード音楽院の卒業制作として書き上げた30分少々の作品が、大交響曲の体をなしているかのように鳴り響いている。そう、実に壮麗な演奏となっているのであります。とても真摯でもある。そして、逞しい生命力を宿したものとなっている。
更に言えば、シカゴ響との共演だということにも依るのでしょう、シャープで、かつ、鮮烈な演奏ぶりが示されています。精巧で克明で、敏捷性が高くもある。そこに、バーンスタインならではの濃密さが加えられたものとなっている。

なんとも立派な、そして、説得力が強くて、聴き手を惹きつける強大な力を持っている、素晴らしい演奏だと思います。