ブリュッヘン&18世紀管によるハイドンの≪時計≫と≪太鼓連打≫を聴いて

ブリュッヘン&18世紀管によるハイドンの≪時計≫と≪太鼓連打≫(1987年録音)を聴いてみました。

颯爽としていて、清新な演奏であります。句読点が明快に打たれていて、堅固な演奏ぶりでもある。それ故に、とても端正な音楽が鳴り響いている。そのうえで、適度な熱気と、充分なる力感を併せ持っている演奏が繰り広げられている。
音楽がキビキビと運動していて、躍動感に溢れています。とても克明で、立体感が備わっている。しかも、凛とした表情を湛えている。そして、全編にわたって、飾り気のない誠実な音楽が鳴り響いている。
堅実で厳格でありつつ、明朗で、親し気な雰囲気にも欠いていない。そのような演奏ぶりが、ハイドンの音楽には誠に似つかわしいと思えます。ハイドンならではの茶目っ気たっぷりな表情が、誠実な演奏ぶりの先から浮かび上がってくるかのようで、「虚飾の無い愉悦感」と呼べそうな感興が備わってもいる。
ハイドンの交響曲の中では、比較的大柄だと言えそうなこの2曲。そのことに対しての、適度な気宇の大きさが備わった演奏となってもいる。そのような中で、≪時計≫での演奏では愉悦感が強く、≪太鼓連打≫では厳格な性格の強い演奏になっていると言えそう。それでいて、≪太鼓連打≫の最終楽章では疾駆感の強い演奏が展開されていて、コントラストの明瞭な音楽世界が広がっている。

大向こうを唸らせるような大袈裟な音楽づくりが施されている訳ではないのですが、ズシリとした手応えが感じられ、かつ、味わいの深いハイドン演奏になっています。しかも、頗るチャーミングな。