マリナー&アカデミー室内管によるモーツァルトのディヴェルティメント第17番を聴いて

マリナー&アカデミー室内管によるモーツァルトのディヴェルティメント第17番(1970年頃の録音)を聴いてみました。

何とも爽やかな演奏であります。優美で、瀟洒で、清冽で、スマート。伸びやかで流麗であり、かつ、洗練味を帯びている。
基本的には、キリっと引き締まった演奏が繰り広げられています。それでいて、痩せすぎるようなことはなく、適度にふくよかな広がりも併せ持っている。
そのうえで、モーツァルトの機会音楽に不可欠と言えそうな晴朗さを湛えた音楽世界の広がる演奏となっています。落ち着いた演奏ぶりの中から、作品が持っている屈託の無さが溢れ出てもいる。そして、ときに哀愁の色を滲ませるなどして、多感なモーツァルトが織り込んだ音楽世界を的確に描き上げてゆく。その様が、実に粋であります。
しかも、音楽の運びが頗るスムーズ。ある種、手際の良い演奏ぶりだとも言えそうですが、マリナーの音楽センスの高さ故に生まれた流暢さなのでありましょう。更に言えば、音楽の佇まいが実に美しい。

このチャーミング極まりない作品の魅力を堪能することのできる、素敵な演奏であります。