ネーメ・ヤルヴィ&エーテボリ響によるR=コルサコフの≪アンタール≫を聴いて
ネーメ・ヤルヴィ&エーテボリ響によるR=コルサコフの交響曲全集から≪アンタール≫(1987年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に所蔵されている音源での鑑賞になります。
この作品は、6世紀のアラビアの詩人アンタールにまつわる作品で、≪シェエラザード≫と同様に、R=コルサコフ好みの異国情緒溢れた音楽となっています。
(ちなみに、この作品の初版は1868年に作曲されていて、1888年に完成された≪シェエラザード≫よりも先に書かれています。)
さて、ここでの演奏はと言いますと、ネーメらしく、骨太で、逞しい筆致によって描き上げられたものとなっています。
オーケストラを存分にドライブしながら、豪快かつドラマティックに音楽を奏で上げている。その様は、誠に気風が良い。しかも、色彩感にも不足はない。音楽が、豊かに息づきながら、あちこちでキラキラと輝いている。ここに広がっているのは、壮麗で、煌びやかな音楽世界。
しかも、エキゾティックでノスタルジックな雰囲気にも不足はありません。この作品ならではの妖艶な空気感も、そこここから立ち昇ってきている。
そんなこんなによって、聴いていてワクワクしてくる演奏となっている。
この作品の魅力を存分に味わうことのできる、見事な演奏であります。