ミュンシュによるフランクの交響曲を聴いて

ミュンシュ&ボストン響によるフランクの交響曲(1957年録音)を聴いてみました。

ミュンシュの演奏の特徴、それは、熱気に満ちていて、生命力と力感に溢れた音楽づくりにあると言えましょう。ダイナミックでエネルギッシュで、頗るホットな演奏を繰り広げることが多い。
逞しい生命力の貫かれた、男気に溢れた演奏を繰り広げてくれる指揮者。それが、私がミュンシュに対して抱いているイメージであります。
それでいて、音楽が空転するようなことはなく、強い求心力を持ったものとなっている。

さて、ここでのフランクの交響曲もまた、そのようなミュンシュの特徴が遺憾なく表されている演奏になっています。実に熱くて、逞しい音楽が鳴り響いている。そのうえで、構築性や凝縮度の高さが示されてもいる。
全体を通じて、燃焼度の高さがヒシヒシと伝わってきます。音楽が、至る所で爆発している。逞しい推進力を蓄えながら、驀進してゆく。これはもう、ミュンシュの熱血漢ぶりがハッキリと窺える演奏だと言えましょう。触れば火傷をするような熱い音楽となっているとも言いたい。
更には、推進力の大きさたるや、絶大なものがあると言いたい。
それでいて、やみくもにエネルギーを放出しているだけではありません。むしろ、エネルギーは内側にギュッと蓄えられてゆくような演奏となっている。そのために、音楽がお祭り騒ぎにならず、切実なものとなっている。結晶度の高い演奏となってもいる。

いやはや、なんとも見事な演奏であります。