バルビローリ&ハレ管によるシベリウスの交響曲第1番を聴いて
バルビローリ&ハレ管によるシベリウスの交響曲第1番(1966年録音)を聴いてみました。
バルビローリならではの、熱い情熱の燃え滾っているシベリウス演奏が繰り広げられています。
音楽が存分にうねっていて、雄渾にして逞しく、エネルギーの放出の大きな演奏となっています。音楽全体が、生気に満ちている。しかも、スケール感たっぷりで、雄大な音楽世界が広がっている。
それでいて、外面的な効果を狙っているような素振りや、押しつけがましさといったものは、微塵も感じられません。毅然としていて、真摯な音楽づくりが為されている。どっしりと構えた演奏ぶりが示されてもいる。更に言えば、抒情味に不足はない。彫りが深くて、凛としていて、端正な佇まいをしてもいる。
そんなこんなの奥底には、バルビローリの人間性の豊かさが流れているように思えてなりません。
総じて、冴え冴えとしている中にも充分なる熱気が込められている演奏だと言えそう。
そのような中でも特に、最終楽章での、怒涛のように押し寄せてくるエネルギッシュな演奏ぶりと、その後に訪れる輝かしくて壮麗なクライマックスの見事さには、強く惹きつけられるものがあります。
作品の素晴らしさと、バルビローリの素晴らしさの双方を心行くまで味わうことのできる、頗る魅力的な演奏であります。