シューリヒト&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第2番を聴いて

シューリヒト&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第2番(1953年録音)を聴いてみました。
シューリヒトらしい、凛とした美しさに満ちている演奏となっています。キリっと引き締まった演奏が繰り広げられている。透明感が高くもある。
更には、厳しさの中に、優美さが垣間見える演奏だと言えそう。そして、淡々としているようでいて、内に秘めた情熱が感じられ、かつ、濃厚な味わいを持っている演奏だとも言えそう。そんなこんなによって、客観的な音楽づくりをしていつつも、ロマンティシズムに満ちている。それは、内声部の動きに力感があり、推進力に満ちているが故なのでしょう。或いは、第2楽章の終盤で顕著なように、裏に隠されている情熱が顕在化する箇所が幾つか見られることにも依るように思われます。
全体的に、凝縮度が高くて、しかも、伸びやか。明朗でありつつ、深みやコクが感じられる演奏。
かように、一見矛盾しそうな事柄が、この演奏では整然と同居している。そのうえで、世俗に迎合するような表現は一切伺えず、凛然とした音楽が繰り広げられている。
そのような中でも、さすがに最終楽章では、ボルテージが上がり、勢いのある演奏ぶりが示されていますが、熱く燃え滾りながらも遮二無二前進してゆくのではなく、情趣や気高さといったものを漂わせてくれているところが、なんとも素晴らしい。
そのうえで、戦後間もない時期のウィーン・フィルの、優美で気品のある響きがまた、演奏にこの上ない美しさを与えてくれている。

実に見事な、そして、頗る素敵な演奏であると思います。