フリッチャイ&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第2番を聴いて

フリッチャイ&ウィーン・フィルによるブラームスの交響曲第2番(1961年 ザルツブルク音楽祭ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

峻厳でいて、優美で柔らかみのある演奏となっています。それはまさに、フリッチャイとウィーン・フィルの、それぞれの個性が融合された結果であると思えます。
更には、逞しさと儚さが同居しているような演奏になっているとも言えそう。儚さという点では、第3楽章での演奏ぶりにおいて、殊更に強く感じられます。それは、このとき既に、自らが病魔に冒されていることを知っていたフリッチャイの心情の現れなのかもしれません。ちょっとした、枯淡の味わいが感じられもする。
その一方で、全編を通じて充実感いっぱいな響きと音楽づくりに満たされています。以前のフリッチャイのようなエッジの立ったキレッキレな演奏ぶりではないものの、構築感が高くて、厳格で、彫琢の深い演奏が展開されている。その中でも、とりわけ、最終楽章では強い推進力が示されていたりする。また、第1楽章の展開部などでは、作品の内側から湧き上がるような情熱の迸りを感じ取ることができる。そういったことは、ライヴならではの感興の昂まり故なのかもしれません。
そのようなフリッチャイによる音楽づくりに対して、ウィーン・フィルは、ここでも、艶やかにして、しなやかな演奏ぶりで応えてくれています。

最晩年のフリッチャイ(とは言え、49歳の誕生日を迎える前にこの世を去ったフリッチャイによる、47歳の時の演奏となります)と、ウィーン・フィルによる組合せならではの魅力を湛えている演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
なんとも見事な、そして、奥深さの感じられる素晴らしい演奏だと思います。