フランチェスカッティ&ワルターによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3,4番を聴いて

フランチェスカッティ&ワルター&コロンビア響によるヴァイオリン協奏曲第3,4番(1958年録音)を聴いてみました。

この演奏を特徴づけているのは、ワルターの指揮のように思えます。演奏全体が、柔らかみがあって、暖かみを帯びていて、慈愛に満ちていて、風格の豊かな音楽が奏で上げられている。更に言えば、優美で、匂い立つような美しさを湛えた音楽世界が広がっている。しかも、充分なる力感を備えてもいる。
そこに、フランチェスカッティの清らかで凛とした美音に支えられた、気品のある独奏が添えられてゆく。艶やかで、歌心に溢れていて、人懐こさが感じられるヴァイオリンであります。ワルター同様に、暖かくもある。そのうえで、潔癖さを備えているとも言える。
かなり古風なスタイル(先鋭さなんて、これっぽっちも無い)と言えましょうが、聴いていて落ち着きます。そして、ウットリとしてくる。

録音されて半世紀以上が経過していますが、決して色褪せることのない魅力を宿している、素敵な演奏であります。