ブーレーズ&シカゴ響によるストラヴィンスキーの≪火の鳥≫全曲を聴いて

ブーレーズ&シカゴ響によるストラヴィンスキーの≪火の鳥≫全曲(1992年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

精緻であり、かつ、凄絶な演奏となっています。整然としていながらも、エネルギッシュな要素に不足はなく、ひとたび爆発すれば巨大なエネルギーを放射する。そして、渦巻くような音楽世界が出現する。
それでいて、と言いましょうか、ストラヴィンスキーならではのバーバリズムは薄い。むしろ、ある種、秩序だった音楽が鳴り響いていると言いたい。メカニカルな鮮やかさが際立っている。その点は、シカゴ響による貢献も大きいのではないでしょうか。
にもかかわらず、無機的になっていたりしない。或いは、冷たさが感じられるようなこともない。この辺りには、1990年代以降、DGと専属契約を交わした直後辺りから見受けられるようになったブーレーズの演奏スタイルの変化がハッキリと窺えます。そう、充分に克明でシャープな音楽づくりが施されているのですが、そこに丸みが加えられてもいる。過度に尖鋭な演奏とはなっていない。
しかも、音楽が豊満になるようなこともない。凝縮度や、緊迫感の高い音楽が鳴り響いているのであります。
そのうえで、充分に目鼻立ちがクッキリとしている。衝撃的とまでは言わなくとも、とても鮮烈な演奏となっています。更には、色彩鮮やかでもある。バレエ音楽としての躍動感に不足はなく、ダイナミックでもある。この辺りには、以前からのブーレーズの特徴が残されていると言えましょう。

ブーレーズらしさと、1990年代のブーレーズによる演奏の特質とがクッキリと刻まれていて、かつ、聴き応え十分な、素晴らしい演奏であります。