ベルガンサ&レケホによるシューマンの≪女の愛と生涯≫を聴いて

ベルガンサ&レケホによるシューマンの≪女の愛と生涯≫(1981年録音)を聴いてみました。
スペインの名花ベルガンサによる、珍しいドイツ・リートの録音。更に言えば、メゾ・ソプラノによる≪女の愛と生涯≫も珍しい。
もっとも、この歌曲集は、女性歌手にとっては重要な作品となりうるものでありましょう。ベルガンサも、リサイタルではしばしば採り上げていたのでしょう。
その歌唱はと言いますと、清潔感に溢れた、頗る素敵なものとなっています。
なんとも純真な歌が繰り広げられている。それはまるで、ケルビーノが(もっとも、ケルビーノは少年であり、女性ではありませんが。。。)≪女の愛と生涯≫を歌っているかのよう。特に、第3曲目や第7曲目に、そのことが強く感じられる。そう、真っすぐで伸びやかで、明朗で、なおかつ、ひたむきな歌になっているのです。
また、第2曲目において顕著なように、フレージングがとても伸びやか。更には、第4曲目においてひときわ際立っているのですが、頗る情感豊かでもある。第5曲目での明朗で幸福感に溢れた歌いぶりなどは、なんともチャーミングなものとなっている。
そんなこんなのうえで、最終曲での夫の死の場面での絶望や諦観の表現も見事。歌っているというよりも、つぶやきながら、胸の裡を吐露している。
そのような歌いぶりが示されながら、全体を通じて、粘るようなことは微塵もないものの、情感の細やかさが織り込まれた歌となっている。
ベルガンサの音楽性の確かさと、音楽への献身的な態度が露わになっている歌唱。そんなふうに言いたい。そのうえで、この作品の魅力を存分に味わうことのできる、そして、心にジッと沁み入る歌唱となっている。
いやはや、惚れ惚れするほどに素晴らしい歌であります。





