エラス=カサド&フライブルク・バロック・オーケストラによるメンデルスゾーンの≪イタリア≫を聴いて

エラス=カサド&フライブルク・バロック・オーケストラによるメンデルスゾーンの≪イタリア≫(2015年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
とりたてて特別に速いテンポが採られている、という訳ではないのですが、歯切れが良くて、颯爽とした演奏が繰り広げられています。第1楽章などは、一陣の風が吹いているかのようでもある。
H=カサドによる実演は、これまでに一度、2017年のゴールデンウィークにベルリンを訪れた際、ベルリン国立歌劇場で上演された≪フィガロの結婚≫で触れています。この時期は、ベルリン国立歌劇場の本拠地でありますウンター・リンデン劇場は改修中で閉鎖していましたので、代わりに、シラー劇場で公演が持たれていた。
その≪フィガロの結婚≫でのH=カサドはと言いますと、溌剌としていて、躍動感のある演奏を繰り広げてくれていました。キビキビと進められていって、疾走感が強くもあった。その一方で、繊細で抒情的でもあった。更に言えば、幕尻でアルマヴィーヴァ伯爵が”Contessa perdono”と歌う場面では、崇高で感動的が鳴り響くこととなっていた。それは、H=カサドによる劇的組み立ての周到さ故だったのでは、と思えた次第。
当盤に刻まれている演奏は、そのときの≪フィガロの結婚≫での印象そのまま、といった感が強い。そう、溌剌としていて、躍動感に溢れた演奏となっているのであります。
しかも、これは特に、第2楽章での演奏において顕著であるのですが、歌謡性が豊かでもある。また、両端の急速楽章では、劇性の強い演奏ぶりが示されている。こういったことは、オペラにおける経験に依るところも大きいのかもしれません。
そのうえで、この作品に相応しい明朗にして、晴れやかで鮮やかな音楽世界が広がることとなっている。
そこに加えて、ピリオド楽器で編成されたオケを指揮していることによって、清新さが強調されることとなっています。更には、H=カサドによる音楽づくりが鮮やかでありながらも、過度にケバケバしいものになるようなことを食い止めてくれていると言えそう。
スッキリとした気分で聴き進むことができ、なおかつ、この交響曲が備えている音楽世界を曇りのない形で一望することのできる、素敵な演奏であります。






