サヴァリッシュ&コンセルトヘボウ管によるベートーヴェンの≪英雄≫を聴いて

サヴァリッシュ&コンセルトヘボウ管が1990年代の前半に制作したベートーヴェンの交響曲全集から≪英雄≫(1993年録音)を聴いてみました。
サヴァリッシュ&コンセルトヘボウ管のコンビによる録音はとても珍しく、この全集以外には、1960年代の初頭に録音されたベートーヴェンの≪田園≫や交響曲第7番や、或いはチャイコフスキーの交響曲第5番や、といったものがあったくらいなのではないでしょうか。
なお、サヴァリッシュは1993年にフィラデルフィア管のシェフに就任しており、その着前に着手されたベートーヴェンの交響曲全集ということになります。
さて、ここでの≪英雄≫はと言いますと、まろやかさが前面に出ている演奏となっています。それは、サヴァリッシュの音楽性と、コンセルトヘボウ管の体質とに依るものだと言えましょう。
更に言えば、安定感の高い演奏となっています。その一方で、刺激は少ない。
それでいて、決してひ弱な演奏になっている訳ではありません。ドッシリと構えた音楽づくりから、過不足のない力感が溢れ出ている。それも、全く誇張のない形で。それ故に、居丈高になるようなことは皆無で、かつ、充実感に満ちた音楽が鳴り響くこととなっている。
そのうえで、コンセルトヘボウ管の芳醇で、コクのある響きが加わることによって、この演奏の魅力がいや増すこととなっています。
サヴァリッシュ&コンセルトヘボウ管という組合せならではの、独自の魅力を湛えている、素敵な≪英雄≫であります。





