アンドリス・ネルソンス&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫を聴いて

アンドリス・ネルソンス&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管によるメンデルスゾーンの≪スコットランド≫(2021年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

堅実で端正であり、かつ、対比の鮮やかな演奏が繰り広げられています。
過剰に激情的であったり、うねりにうねっていたり、といったものにはなっていない。それだけに、ロマンティックな感興を誇張するような演奏にはなっていません。最終楽章に入るまでは。
かと言って、力感に不足していたり、感情の吐露が抑制されていたり、といった音楽が鳴り響いている訳でもありません。例えば、第1楽章の終結部においては、内側からエネルギーが噴き出すような底力が示されていて、逞しいまでの生命力が湧き上がっている。
また、第2楽章での機敏さにも不足がない。しかも、それが浮足立ったものにはなっていないのが流石。更には、第3楽章では、大袈裟な表情が作られている訳ではないものの、抒情性の豊かさが滲み出る演奏となっている。また、同じく第3楽章での終わり間近での、クラリネットが声を潜めて旋律を奏でる場面では、ジッと心に沁み入ってくる音楽となっている。
そのような第3楽章までを経て、最終楽章になると、それまで抑えていた感情を一気に爆発させてゆく。そのことによって、それまで以上に、音楽に逞しさが備わることとなっています。それはもう、あからさまな形で。そして、律動的であり、かつ、劇的な音楽が響き渡ってゆく。そのような様相が、それまでの3つの楽章での演奏ぶりとのコントラストによって、より鮮明なものとなっている。
4つの楽章における、設計の妙が表わされている演奏。そんなふうに言えましょう。
そのうえで、最終楽章のコーダ部では、昂揚感に満ちた音楽が奏で上げられてゆく。しかも、決して声高なものではなく、端正な形で。

ネルソンスの音楽への誠実さや、音楽性の豊かさ、更には、設計の巧みさ、といったものが凝縮されている、聴き応え十分な、素敵な演奏であります。