ミトロプーロス&ケルン放送響によるメンデルスゾーンの≪宗教改革≫を聴いて

ミトロプーロス&ケルン放送響によるメンデルスゾーンの≪宗教改革≫(1957/7/19 ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
このCDには、ミトロプーロスがベルリン・フィルを指揮しての≪スコットランド≫(1960/8/21 ライヴ)も収められています。
9年ほど前にこのCDを初めて聴いた際、その≪スコットランド≫にも大いに感心させられたものでした。筋骨隆々とした強靭な音楽であり、強大なエネルギーを宿した逞しい音楽の奔流が、堰を切ったように押し寄せてくる。それでいて、ちっとも荒々しくない。音楽の作りが実に緻密で、隅々にまで統制が取れていて、深く彫琢されていて、フォルム自体は端正この上ない。その見事さに、唖然とさせられたものでした。
しかしながら、≪宗教改革≫が始まると、演奏のレベルが更に数段上がったように思えた。厳粛な雰囲気に包まれていながら、激情的な音楽が迸っていて、しかも彫りが極めて深い。音は重厚なのだが澄明であり、しかも火傷をしそうなほどに熱い。
テンポの伸縮は自由自在であり、尚且つ、全てのギアチェンジは曲想から逸脱をしておらず、音楽に圧倒的な説得力を与えている。そのようなアゴーギクを駆使しながら、時に雄大に歌い、時に柔らかく聴き手を包み込んでゆき、時に切々と語りかけてきて、時に鋭く音楽に切り込んでゆく。そして、それらの音楽表現の全てが、作品の素晴らしさを種明かしすることに直結していると思えてならなかった。
喩えてみるならば、トスカニーニとフルトヴェングラーを足してそのまま(2で割る必要がない)といった感じだろうか。こんな凄い≪宗教改革≫は聴いたのは、これまでに聴いたことがない。
メンデルスゾーンらしくないと言えばそれまでなのだが、そこのところを超越した、素晴らしい演奏。これはもう、神業と呼ぶしかない。そんなふうに思ったものでした。
(以上は、以前に聴いた際に感じたことを投稿したフェイスブックから、要点を抜粋しながら記してきました。)
今回、久しぶりに≪宗教改革≫を聴き直してみましても、その思いは全く変わることはありませんでした。
激情的でいて、緻密。なるほど、かなり鮮烈な音楽が奏で上げられているのですが、作品を締め上げるようなことは皆無。この作品の生命力を的確に解放している演奏だと言いたい。更に言えば、剛直でありつつも、充分にしなやかでもある。そして、なんとも感興豊かな音楽が鳴り響くこととなっている。そんなこんなによって、この作品の神髄と言ったものを、存分に味わい尽くすことのできる演奏となっている。
多くの音楽愛好会に聴いてもらいたい、極めつけの演奏。そんなふうに強く言いたい。





