パーヴォ・ヤルヴィ&シンシナティ響によるホルストの≪惑星≫を聴いて

パーヴォ・ヤルヴィ&シンシナティ響によるホルストの≪惑星≫(2008年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
エッジの効いた明快な演奏が繰り広げられています。
キリっとした佇まいをしていて、頗る見通しが良い。整然とした演奏ぶりからは、機能美のようなものすら感じられる。そのうえで、颯爽としていて、音楽の隅々までが生き生きとしていて、ダイナミックな演奏となっています。
その一方で、例えば「金星」などでは、繊細にして抒情味豊かな音楽が奏で上げられている。また、「水星」ではキビキビとしたコミカルさも十分に表出されている。「木星」では雄大な歌が湧き上がっている。「土星」は単に老いの静寂が描かれているだけでなく、頗る雄渾な音楽が鳴り響いている。「海王星」では静謐にして清浄な音楽世界が広がっている。
要は、≪惑星≫という作品に望むべき要素が、ほぼ全て網羅されているような演奏。しかも、全く虚飾のない形で。そういったことが可能になったのも、パーヴォの音楽性の豊かさや、手腕の確かさに依るのだと言いたい。
しかも、ダイナミックでありつつも、過度に煽情的になるようなことはありません。むしろ、理性的な演奏だと言えそう。しかも、芝居じみていたり、大袈裟であったり、といったことが一切感じられない。この作品は、いくらでも「芝居じみた」形で演奏できようかと思われるだけに、ここで展開されている演奏は驚嘆ものでもあります。
そのようなこともあって、虚飾がなくて、整然としていて、ピュアな美しさを湛えた音楽が鳴り響くこととなっているのでしょう。
この作品の魅力をストレートに、かつ、等身大な形で味わうことのできる演奏。
そんなふうに言える、なんとも見事な、そして、実に素敵な≪惑星≫であります。





