ギーレン&南西ドイツ放送響によるブルックナーの交響曲第9番を聴いて

ギーレン&南西ドイツ放送響によるブルックナーの交響曲第9番(2013年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

当盤は、ギーレン&南西ドイツ放送響によるライヴ録音を集成して、ブルックナー交響曲全集として編まれたCDボックスに収蔵された中の1枚になります。そこでは、1968年に録音された第2番を皮切りとしていて、2013年に録音された第9番は、その最後のものとなっています。

ギーレンらしい、明晰で、解像度の高い演奏となっています。
とは言うものの、ギーレンによる多くの演奏で見受けられるような、切れ味の鋭さは感じられません。それよりも、ドッシリとした重量感が備わっている。それは、概して遅めのテンポが採られていて、ジックリと奏で上げられていることにも依るのでしょう。
そのようなこともあって、決してサラサラと流れて行ったり、あっけらかんとしていたり、といったような音楽にはなっていません。
そのうえで、仕上げが丹念で、緻密な演奏が展開されています。贅肉を削ぎ落とした演奏が展開されていて、キリっと引き締まってもいる。更には、情念的な空気が漂うようなこともない。もっと言えば、雑念のない演奏だと言えそう。その結果として、ピュアな音楽が鳴り響くこととなっている。
それでいて、充分に精力的な音楽となっています。決して分厚い音楽が鳴り響いている訳ではないものの、タップリとした質感を備えていて、かつ、逞しさを備えたものとなっている。そこからは、「凛とした生気」とも呼べそうなものが滲み出ている。それは特に、第1,2楽章において顕著。
その一方で、第3楽章では、玄妙な音楽が響き渡ることが多い。そのような中で、クライマックスを築き上げる箇所をはじめとして、時に毅然とした表情を伴いながら、逞しさを備えた音楽が奏で上げられることとなっている。
そんなこんなもあり、知情のバランスに優れた演奏になっていると言えましょう。この辺りもまた、実にギーレンらしいところであります。
そのような演奏スタイルを、ブルックナーの音楽がシッカリと受け止めていて、至純な音楽が鳴り響くことになっているのが、なんとも興味深いところ。

ユニークな魅力を湛えていて、聴き応えも十分な、素敵なブルックナー演奏であります。