クリュイタンス&フランス国立放送管によるフランクの交響曲を聴いて

クリュイタンス&フランス国立放送管によるフランクの交響曲(1953年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
クリュイタンスとフランクという組合せ、一見するとフランス人指揮者によるフランス音楽という思いを抱いてしまうかもしれませんが、厳密に言うとベルギー人指揮者によるベルギー人作曲家が書いた作品の演奏、ということになります。
とは言いましても、ベルギーはフランスの文化の影響を色濃く受けている国。しかも、クリュイタンスもフランクも、フランス楽壇を中心に活躍をしていた音楽家。広義の意味では、生粋の「フランス音楽」と呼べるのではないかと思えます。
さて、そのようなことを一旦置きつつも、ここで聴くことのできる音楽は、まさに正真正銘の「お国物」の演奏になっていると言いたい。ここに刻まれているものは、作曲者への心からの敬意と、親愛、それと作品に対する熱いまでの共感、そういったものに裏付けられている演奏であると思えるからであります。
随所に迸るような情熱が感じられ、生気に富んでいる。そして、音楽が逞しくうねっているのであります。更には、決してケバケバしく飾られている訳ではないのですが、彩りの鮮やかさや光沢が感じられる。それは、底光りするような色彩だとも言いたい。
しかも、いつものクリュイタンスと同様に、毅然としていて、格調が高い。紳士的であり、かつ、エレガントな演奏が展開されている。
聴いていて胸を熱くさせてくれるとともに、精彩に富んでいる演奏。それと同時に、作品の魅力をタップリと味わうことのできる演奏となっている。
いやはや、なんとも見事な演奏であります。





