リリング&シュトゥットガルト・バッハ・コレギウムによるバッハのカンタータ第147番を聴いて

リリング&シュトゥットガルト・バッハ・コレギウムによるバッハのカンタータ第147番(1970年代の録音)を聴いてみました。
「主よ、人の望みの喜びを」を含んでいるこのカンタータは、200曲を超えるバッハのカンタータの中でも、最も広く親しまれているものの一つだと言えましょう。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

誠実さが前面に出ている演奏となっています。とても端正で、キチッとした音楽が鳴り響いている。
そのうえで、暖かみに溢れている。そう、決して肩ひじを張ったような演奏にはなっていないのであります。膨らみが感じられもする。明朗にして、伸びやかでもある。厳めしい音楽はなっておらずに、人情味に溢れている。
更に言えば、適度に輝かしくもある。大袈裟にならない範囲での祝祭的な華やかさや、ドラマティックな感興や、といったものが備わってもいる。
古楽器による演奏にありがちな、エキセントリックな演奏とは対極をなす、ふくよかさやおおらかさを持っている演奏だとも言えそう。親しみが湧いてくるバッハ演奏になってもいる。

安心してバッハのカンタータの音楽世界に身を浸すことのできる、堅実にして素敵な演奏。飾り気のないバッハ演奏でもある。
そんな、とても魅力的な演奏であります。