マリナー&アカデミー室内管によるビゼーの交響曲の旧盤(1973年録音 アーゴ・レーベル)を聴いて

マリナー&アカデミー室内管によるビゼーの交響曲(1973年録音)を聴いてみました。

なんとも清々しい音楽が響き渡っています。とても晴朗でもある。これらのことは、作品にも、演奏にも当てはまる。
ここでの演奏は、なんとも端正で、チャーミングなもの。そして、颯爽としている。
全体的に速めのテンポが採られていて、キビキビと、そして、テキパキと音楽は進められています。目鼻立ちがクッキリとしていて、その演奏ぶりは頗る明快。そして、流麗な演奏が繰り広げられている。身のこなしが、頗るしなやかでもある。そんなこんなによって、一陣の風が吹いてゆくような爽やかさを持った演奏となっています。そのうえで、この作品が備えている可憐さも充分。
全体を通じて、響きは、適度に引き締まっていて、それでいて、適度に開放的でもある。それがまた、この作品に相応しいと思えてなりません。
更には、第2楽章では、切々とした歌が繰り広げられている。しかも、音楽が粘着質になるようなことはない。冴え冴えとした抒情が広がってゆくこととなっている。
なるほど、手際よく纏められている演奏だと言うこともできましょう。とは言うものの、そのような見解を超えた魅力を備えた演奏になっています。仕上げが誠に丹念で、凛とした美しさを湛えているとも言いたい。

マリナーの卓越した音楽センスが全開の演奏。
スッキリとした気分を味わうことのできる、素敵な素敵な演奏であります。