クルレンツィス&ムジカ・エテルナによるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫を聴いて

クルレンツィス&ムジカ・エテルナによるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫(2013年録音)を聴いてみました。
図書館で借りたCDでの鑑賞になります。

なんとも鮮烈繰り広げられています。逞しい生命力が漲っている演奏になっている。大きな起伏の取られている演奏だとも言えそう。
とは言いましても、作品を歪曲するような演奏にはなっていません。なるほど、それぞれの場面での性格が強調されていることもしばしばですが、それが度を越したものになっていない。
例えば、「序奏」が終わって、急速なテンポによるダイナミックな音楽に切り替わった「春のきざし」では、テンポを通常よりも速めに採って、颯爽と進めてゆく。続く「誘拐」への橋渡しとなる箇所では、木管楽器群による「呻き」のような音型を強調して、不気味さを増長させている。
かように列記していけばキリがありませんので、ここまでに致しますが、鮮やかな音楽づくりを施しながら、刺激的な演奏が展開されてゆく。エッジの効いた演奏となってもいる。
その一方で、清新な瑞々しさや、溌剌とした躍動感や、爽快感や清涼感や、といったものが感じられもします。切れ味が鋭いのですが、変に攻撃的になってはいない。そして、粗さが微塵も感じられない。とても丹念に仕上げられた演奏となっている。

クルレンツィスは、鬼才、もしくは奇才と言えるのでしょうが、確かな才能の持ち主だということを痛感させられる演奏。そんなふうに言いたい。
なんとも素敵な≪春の祭典≫であります。