ショルティ&シカゴ響によるプロコフィエフの≪ロメオとジュリエット≫抜粋を聴いて

ショルティ&シカゴ響によるプロコフィエフの≪ロメオとジュリエット≫抜粋(1982年録音)を聴いてみました。
17のナンバーが抜粋されていて、演奏時間は45分ほど。全曲のおよそ3割の分量になっていることになります。

強靭で、硬質で、かつ、毅然とした演奏が展開されています。
切れ味鋭くて、エッジの立った演奏となっている。しかも、頗る精緻。曖昧さのない演奏ぶりが示されています。そして、力感に溢れている。
エネルギッシュで、かつドラマティック。メリハリがクッキリと効いている。それはもう、痛快なまでに。そんなこんなもあり、極めて明快な演奏となっています。気風が良くて、清々しさを覚える演奏だとも言えそう。そのうえで、色彩鮮やかで、煽情的。
しかも、オケが頗る巧く、ダイナミクスの幅が広い。なおかつ、音は全く混濁していない。丹念に磨き上げられたオケの音がしている、とも言えそう。そのようなこともあって、頗る純度の高い音楽が鳴り響くこととなっています。冴え渡った音楽になっていると言いたい。
更に言えば、圧力の高い演奏でありつつも、決して威圧的な演奏となっている訳ではありません。曲想に応じて、情緒の豊かな音楽づくりが為されている。柔軟性を備えた演奏だとも言えそう。全編を通じて、見通しの良い演奏となっているとも言いたい。

なんとも痛快な演奏。それは、ショルティ&シカゴ響の美質がクッキリと現れた結果でもありましょう。
このコンビならではの、頗る素敵な演奏であります。