クナッパーツブッシュ&ウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第3番を聴いて

クナッパーツブッシュ&ウィーン・フィルによるブルックナーの交響曲第3番(1954年 セッション録音)を聴いてみました。

クナッパーツブッシュらしい、雄大で壮麗な演奏であります。とても骨太でもある。
最終楽章を除くと、テンポ自体はありま遅いとは感じられないのですが、演奏全体から悠然とした色合いを持ったものとなっています。なんともスケールの大きな音楽世界が広がっている。雄々しさに溢れていながら、凛としていて、毅然とした佇まいも感じ取ることができる。しかも、優しさや人情味のようなものが滲み出ているような演奏となっている。

そのうえで、堂々たる音楽の大伽藍が出現するような演奏となっている。このことは特に、最終楽章において顕著。それはあたかも、宇宙を感じさせられるような音楽となっている。
全編を通して、巨大で、剛毅で、それでいて、キリリと引き締まっている端正な音楽を、ここに聴くことができる。それはまた、実に偉大な音楽世界であるとも言えそう。
そのようなクナッパーツブッシュの音楽づくりに加えられる、ウィーン・フィルによる気品に満ちた美しい音色の、なんと魅力的なこと。

圧倒的な説得力を持った、神品とも言えるようなブルックナー演奏であります。