モントゥー&ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンの≪真夏の夜の夢≫抜粋を聴いて

モントゥー&ウィーン・フィルによるメンデルスゾーンの≪真夏の夜の夢≫抜粋(1957年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

優美さと、格調高さとが感じられる演奏であります。
ここでのウィーン・フィルの響きは、艶美であるというよりも鄙びた雰囲気を備えたものとなっています。そのために、必要以上に華美な音楽とはなっていない。素朴で、清楚な音楽が鳴り響いている。そして、チャーミングな色合いを湛えている。
そのうえで、モントゥーは、持ち前の情熱を傾けながら逞しく音楽を奏で上げつつも、作品を慈しみながら、愛情豊かな演奏を繰り広げてくれています。この作品が持っている、メルヘンティックでファンタスティックな味わいにも不足はない。詩情性が豊かで、可憐でもある。
しかも、輪郭線が克明。そのために、頗る明瞭な音楽となっていて、曖昧なところがない。伸びやかで、明朗でもある。

なんとも趣き深い演奏。明快でいて、典雅で、慈愛に満ちている。更に言えば、好々爺モントゥーならではの味わいを備えている演奏となっている。
独自の魅力を湛えている、素敵な≪真夏の夜の夢≫であります。