ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるプロコフィエフの交響曲第6番を聴いて

ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるプロコフィエフの交響曲第6番(1958年録音)を聴いてみました。
ムラヴィンスキーは、この作品の初演者であり、プロコフィエフの新作初演を行ったのは、このときが初めてでありました。

さて、ここでの演奏はと言いますと、実に厳格なものとなっています。
しかも、鋭利で峻烈でもあります。特に第1,2楽章が。それはもう、誠に凝縮度の高い音楽が鳴り響いている。なおかつ、緩徐楽章となる第2楽章では、きっぱりとした表情の中から、ピュアな抒情性が滲み出てくるようでもある。
そのうえで、最終楽章となる第3楽章は、生気に溢れていて、開放的で明朗な雰囲気に包まれています。とは言いましても、決して楽天的に浮かれている訳ではありません。ある種の禁欲的な陽気さのようなものが感じられる音楽が奏で上げられているのであります。そして、スピード感に満ちていて、緻密な演奏が繰り広げられている。
全体的には、毅然としていて、かつ、思索的な音楽世界が広がっていると表現できるのではないでしょうか。

プロコフィエフの7曲の交響曲の中では、比較的マイナーな存在だと言うべきかもしれませんが、聴き応えの十分な演奏が繰り広げられています。
この作品の魅力を存分に味わうことのできる、なんとも見事で立派な、素晴らしい演奏であります。