レッパード&スコットランド室内管によるハイドンの≪ロンドン≫を聴いて

レッパード&スコットランド室内管によるハイドンの≪ロンドン≫(1982,83年録音)を聴いてみました。

スッキリと纏められている、清々しい演奏であります。そう、清涼感の漂う演奏となっている。
それでいて、過度にならない範囲で、重量感が備わってもいる。と言いつつも、重量感という表現は大袈裟に過ぎるかもしれません。何と言いましょうか、手のひらをス~っとすり抜けていかない、しっかとした手応えのようなものが備わっている、と言ったほうが良いかもしれません。そして、音があるべきところにキッチリと収まっている。それも、的確な表情を湛えながら。
何ともセンスの良い演奏であります。
そのうえで、室内オーケストラを相手にしていることもあり、輪郭線が明確で、誠に歯切れが良い演奏となっている。1音1音を、どのようなキャラクターで鳴り響かせてゆけば作品が喜ぶのかを、ということを深く理解したうえで演奏を展開してゆこう、といった思いが感じられもする。
そんなこんなによって、誠に端正なハイドン演奏が繰り広げられることとなっています。音楽性が高く、薫り高くもある。颯爽としていて、溌剌としていて、生命力に溢れてもいる。その上、コクもある。
更には、ハイドンの誠実さや、洒落っ気のようなものが、何の誇張もなくストレートに伝わってくることとなっている。

いやはや、なんとも素敵なハイドン演奏であります。更に言えば、実にチャーミングなハイドン演奏となっています。
レッパードは、私が篤い信頼を寄せている指揮者の一人であるのですが、その素晴らしさを如実に感じ取ることのできる演奏だとも言いたい。
あまり話題に上ることのない音盤だと言えるかもしれませんが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい演奏であります。