ビーチャム&ロイヤル・フィルによるR・シュトラウスの≪町人貴族≫を聴いて

ビーチャム&ロイヤル・フィルによるR・シュトラウスの≪町人貴族≫抜粋(1947,48年録音)を聴いてみました。

小ぢんまりとしたオーケストラ編成による、瀟洒な雰囲気に満ちた作品を、ビーチャムは小粋に演奏してくれています。
その結果として、この曲に織り込まれている茶目っ気たっぷりな性格がよく出ていると言えましょう。お洒落でもある。そして、とても愛くるしい。微笑ましくもある。なによりも、暖かみに溢れている。朗らかにして、親しみ深い音楽世界が広がってもいる。
しかも、輪郭線のクッキリとした演奏が展開されている。そう、決して穏当なだけの演奏ぶりではないのであります。そのことによって、作品の実像といったものがクリアに浮かび上がってゆく。或いは、充分に活気を帯びているために、作品の実像が明朗な形で浮かび上がる、とも言えそう。とてもスタイリッシュでもある。
更には、最終曲での華やかさも十分。そして、全曲を通じて、決してケバケバしいものではないものの、色彩感に不足はない。
そんなこんなのうえで、決して壮麗ではない(それは、作品の性格に依るところも大きい)のですが、人間としての器の大きさのようなものの感じられる演奏となっています。その点では、ビーチャムらしい「好々爺」とした演奏ぶりが示されているとも言えるのではないでしょうか。しかも、そのようなアプローチが、この作品の魅力を存分に引き立ててくれていると言いたい。

この佳曲をチャーミングに奏で上げてくれている、なんども素敵な演奏であります。